UNIVERSITY of CREATIVITYで、筆保プロジェクマネージャーが高校生に投げかけたこと。高校生たちが考えたこと
「安全で豊かな社会を目指す台風制御研究」をムーンショット型研究開発事業で推進する筆保弘徳プロジェクトマネージャー(以下、PM)が、文理芸と産官学の壁を超えて人びとが創造力を再発見し、新しい世界を制作するための学びの場 UNIVERSITY of CREATIVITY(以下、UoC)で、高校生たち、そして企業からの参加者と交流の機会を持ちました。
こんにちは。ムーンショット広報のチアキです。今回は、UoCで行われた
「SFプロトタイピングで未来像を探るワークショップ」の模様をレポートします。
「台風を脅威から恵に」
台風の脅威を減らす技術、ポジティブに活用する技術
今回のテーマは「未来の台風活用社会」。高校生たちに、企業からの参加者も加わり4チームでのワークショップ。大学の講義室とは異なる円形の会場の中心に立った筆保PMは普段の講義と違う環境を楽しんでいる様子です。窓外の雨雲の様子とリアルタイムのレーダー画像を見ながらのアイスブレークに続き、台風制御研究の説明が始まりました。
さまざまな種類の自然災害の中で、台風はその規模や数からすると、経済被害がとてつもなく大きいとのこと。そして、何よりも、台風の持つパワーはすさまじい。エネルギー量だけでも一日あたり世界中で消費されるエネルギーの100日分にも相当する量。だからこそ、人のちからで、その勢力を少しでも減じ、それをポジティブに活用できれば……筆保PMが思いを語ります。
今から60年以上も前、1961年に制定された災害対策基本法にも「台風に対する人為的調節その他防災上必要な研究」の必要性が語られていますが、研究はなかなか進まなかったのですね。この原因は、台風のメカニズムが分からなかったり、制御の方法が分からなかったり、介入の有無の比較実験ができないため効果判定ができなかったり、と。しかしながら近年の観測技術の進展、スーパーコンピューターなどの活用によるシミュレーションの精度の向上もあり、効果判定もできつつあるようです。台風の勢力を落とすことができる時代になりつつあるのかもしれません。そして、台風の被害を減らすだけではなく、そのエネルギーを恵にかえるパラダイムシフトを起こしたいといいます。台風を使った発電など、これまでの技術にはない社会課題解決のためのアイデアの種が説明されました。
未来のガジェットを考えてみる
筆保PMの研究の説明が終わり、ここからは高校生たちが主役です。まずは未来のガジェットを考えます。台風というと「防災」と考えがちですが、台風を活用した新しいサービスや、産業、暮らしを考えるのです。みんなで、数多くのアイデアをひねり出します。
!?難題のミッションから、未来のストーリーを
ここで、事務局からミッションが、それぞれのチームに渡されます。一見、台風とは無関係な設定。このミッションと台風を結び付けてシナリオを紡ぐのです。恋や、海洋環境の浄化、ビジネスなどさまざまなテーマに、先ほど考えた未来の技術を盛り込んで、AI画像も活用しながら寸劇に仕立ててみる試みに取り組みました。
未来を想像すること、そしてそれをカタチにしてみること。頭の中にあることを、画像にしたり、寸劇にしてみることで、起こりうることを具体化できていたように思います。
台風という自然現象を、「恵」に変える。突拍子もないような発想が未来を変える力になるのでしょう。
未来をあきらめないこと。これをクリエーティブと呼ぶんだ、と感じたイベントでした。
関連情報
■ムーンショット型研究開発制度とは(内閣府)
■ムーンショット目標8
「2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現」
■筆保PMのプロジェクト
「安全で豊かな社会を目指す台風制御研究」
■筆保PM インタビュー動画『未来を訊く』