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海外との連携が進む目標9:独ライプニッツ・レジリエンス研究所とワークショップを開催

ムーンショット目標9では、世界中の英知を結集するという趣旨に沿って、日本だけではなく海外の研究開発機関との連携についても積極的に取り組んでいます。今回はその一つとして、6月に日本で開催したドイツのライプニッツ・レジリエンス研究所(Leibniz Institute for Resilience Research、以下LIR)とのワークショップをご紹介します。

こんにちは。JSTムーンショット目標9担当のビートです。
レジリエンス(resilience)とは、一言でいえば「困難な状況やストレスなどからの回復力」のことであり、メンタルヘルス分野において近年、注目を浴びている考え方です。LIRでは、主に青年期の人々を対象としたコホート研究を行い、レジリエンスのメカニズム解明とその研究成果の社会への適用に取り組んでいます。

LIRが行っている「レジリエンスを理解し、ストレスによって引き起こされる精神疾患を予防、知識を提供することで、労働条件や生活条件が変化した時でも公衆衛生を維持、改善できる」ことを目指したレジリエンス研究は、私たちの目標9「2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現」するための研究開発に相通じるところがあります。
また、LIRは主に青年期を対象としている一方、目標9は子どもを対象とした研究を含むなど、それぞれが特徴的な研究を行っています。
従って両者が連携を深めれば、お互いの研究開発をより発展させたり加速させたりできそうですし、メンタルヘルスに関する人種差を調べることにも繋がる可能性があります。この考え方に基づき、1年ほど前から目標9とLIRはコミュニケーションを続けてきました。

2022年12月には目標9から熊谷誠慈プログラムディレクター(PD)、サブプログラムディレクター、JST職員らがLIRを訪問。プロジェクトマネージャー等もオンライン参加し、お互いの研究概要の紹介を将来しつつ、連携の可能性につき討議しました。討議を通じて目的意識が共通していることを確認し、双方の関心ある研究課題についてさらに深く議論する機会を設けることとなりました。

このような経過を経て、今回はLIRの主要研究者に来日していただきワークショップを開催する運びとなりました。東京大学弥生講堂一条ホールにて2023年6月13日と14日にわたり演題発表やポスター発表を行い、関心のあるPMが参加してプロジェクトでの取り組み詳細や現状の関心事項を紹介しました。
また、目標9参画機関のサイトビジットをプログラムに組み入れ、研究開発の状況をLIRの方にご覧いただきました。今回はマネジメントレベルだけではなく実際に研究開発に携わっているメンバーが参加していたため、研究者同士が直接話をする貴重な機会にもなりました。

オープニングプレゼンテーションを行う、熊谷誠慈PD
LIRのManagement Boardである、Prof. Dr. Klaus Lieb

各演題に対して、活発な討議がおこなわれました。また、来日いただけなかったLIRの方は、時差にもかかわらず(現地は朝7時頃)オンラインでご参加くださいました。

今回は、実際に研究開発を行っている若手研究者も参加し、研究内容をポスターで発表していただきました。皆さん、積極的に意見交換を行っていました。

いかにリモートワークが普及している時代とはいえ、Face to Faceで胸襟を開いて話をすると、その後のコミュニケーションが加速度的に進むのはいわずもがなです。共同研究に向けて、LIRー目標9でプロジェクト単位での議論を本格的に開始しており、今後の展開が楽しみです。

目標9では、本取り組み以外にも、様々な地域の研究機関との国際連携を進めようとしています。機会を見て、それらもご紹介していきたいと思います。


この記事を書いた人:ビート
コロナ以来、好きな山歩きから遠ざかり、体力が低下している今日この頃。
低山から鍛え直しです。


■ムーンショット目標9
「2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現」


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