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BMI研究のリサーチスタジオへ見学に行きました。~ムーンショット目標1 金井プロジェクト サイトビジットレポート

今回はムーンショット事業の研究開発が行われている研究施設の見学(サイトビジット)に行きましたので、その一部を紹介いたします。

こんにちは。広報担当のマサトです。
桜が開花してあっという間に散っていきそうな今日この頃。

そんな中、ムーンショット目標1でプロジェクトマネージャー(以下、PM)を務める金井良太さん(株式会社国際電気通信基礎技術研究所 事業開発室 担当部長)の研究施設へ見学に行ってきました。

目標1は「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」という目標を掲げ、プログラムディレクターの萩田紀博さん(大阪芸術大学 芸術学部 アートサイエンス学科 学科長・教授)の指揮の下、現在7人のPMが研究開発を進めています。そのうち金井PMは「身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放」プロジェクトにて、誰もが、身体・脳の制約に関わらず、頭に思い浮かべた言葉や行動のイメージだけで多数のサイバネティック・アバター(以下、CA)を連携させて、創造的な社会活動に参加できる世界の実現を目指しています。今回はこのプロジェクトの研究拠点のひとつであるIoBリサーチスタジオのサイトビジットに行ってきました。

IoBリサーチスタジオは都内某所にある地下3階建ての建物で、秘密基地のような雰囲気。各フロアには目的に応じた研究設備が整えられており、私たちは1階、地下1階、地下2階の順番でそれぞれの設備を見学しました。研究設備の説明を研究者の方から伺ってみると、地下にいくほど「深い」脳の研究ができる環境が準備されているようでした。それではフロア毎にどんな設備が準備されているか紹介いたします。

まず1階には、ヘッドホン型BMI(BMI:Brain Machine Interface)システム「PLUG」を用いた測定環境が準備されていました。

ヘッドホン型BMIシステム「PLUG」

こちらは、以前の記事で紹介されたブレインピックで利用されたものです。ヘッドホンには3個の電極がついており、音楽を聴くときと同じようにヘッドホンを装着するだけで、簡便に脳波を測定することができます。適切に脳波を計測するために、一人ひとりの頭の形や大きさに合わせて微調整が必要なようですが、装着するだけなので、かなりお手軽に脳波計測ができそう。いまや音楽のサブスクリプションが流行しているので、脳波の状態に合わせてちょうど良い好みの音楽が再生されるようなサービスが生まれてくれたら面白そうだと思いました。

利用者の頭の大きさに合わせて電極の位置を微調整する

続いて地下1階には、より詳細な脳波の分析を行うことができる設備が設置されていました。1階に置いてあるヘッドホン型BMIシステム「PLUG」は電極3個で脳波を測定していましたが、地下1階に置いてある装置では128個の電極を用いて脳波の計測を行う事ができるそうです。かなり近未来なデザインの装置でかっこいいと思いました。

近未来的なデザインで、脳波の詳細な分析を行うことができる

最後に地下2階へ。脳波の測定に加えて脳を磁気によって刺激することができる装置が準備されていました。この機器は、例えば疾患の後遺症により腕が麻痺してしまった患者に対するリハビリテーションの医療現場でも腕を動かすトレーニングと併用されることもある磁気発生装置だそうです。ただ、脳のどの部位に磁気を当てれば、麻痺してしまった腕の機能改善に繋がるかは患者ごとの個人差もあるため、適切な部位を探し当てるには装置を操作する方の経験値が重要となります。そこで、この磁気発生装置を自動で操作できるシステムを導入することで、自動で運動野の位置を探し出し、適切な部位に磁気を発生させるという機器を開発していました。実際の医療現場への活用も考えられており、今後の応用が期待できるシステムですね。

磁気発生装置が自動で適切な部位を探し出す
操作者の手技に依らず治療の標準化を目指せるとのこと
磁気を発生させた部位がプロットされ、どの部分を刺激すると腕が運動してくれるかを探し当てる

以上、3フロアを2時間弱で見学しました。百聞は一件にしかずと言うように、頭に思い浮かべたイメージをどのようにCAに連携させるのか、その姿の一端を知ることができました。

今回訪問したリサーチスタジオでは3フロアにそれぞれタイプの異なる3つのBMIシステムを用いて研究開発を実施していました。目的に応じていろいろな規模や形の装置が準備されており、将来的にはBMIシステムも新しいテクノロジーとして様々な現場で普及していくのではと感じました。金井プロジェクトではブレイン・テック製品の現状を正しく知っていただくためのガイドブックを制作、公開しています。BMIシステムの状況に関心のある方は読んでみると面白いと思います。

このプロジェクトの研究が進み、頭に思い浮かべた言葉や行動のイメージが実際にCAに反映されるようになれば、この記事を書くために煩わしくキーボードの文字列を叩く必要もなくなるのだろうと規模の小さい想像をしてしまいました。


記事を書いた人 マサト
新卒で入職し現在3年目の若手職員
Bluetoothのイヤホンが便利であることに最近気がつきました。

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